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フィードバック制御 vs 開ループ制御

フィードバック制御 vs 開ループ制御

制御には 「開ループ制御(フィードフォワード制御)」「フィードバック制御」 という2つの基本的な考え方があります。


① 開ループ制御(フィードフォワード制御)

👉 あらかじめ決めた通りに動かす制御

特徴

  • 入力(指示)を与えたら、そのままシステムが動く
  • 現在の状態を確認せずに制御 する
  • 外乱(予測不能な変化)に弱い

  • 電子レンジ:1分間加熱すると決めたら、途中で温度が変わっても加熱時間は変えない
  • 工場のベルトコンベア:設定した速度で動くが、もし荷物が詰まってもそのまま動き続ける
  • 信号機の制御:時間通りに赤→青に切り替わるが、交通量は考慮しない

メリット

✅ 構造が単純で計算負荷が少ない
✅ センサーが不要な場合が多く、コストが安い
✅ 速く動作できる(遅延が少ない)

デメリット

環境の変化(外乱)に対応できない
目標値に正確に到達する保証がない
高精度な制御には不向き


② フィードバック制御

👉 出力(実際の状態)を測定し、修正しながら制御する方法

特徴

  • 現在の状態をセンサーで測定 し、目標との差を調整
  • 目標値に対してズレがあれば、それを補正する
  • 外乱(風・温度変化など)に強い

  • エアコンの温度制御:設定温度と実際の温度を比べて、エアコンの強さを調整
  • 自動車のクルーズコントロール:速度が落ちたらアクセルを踏み、速すぎたら緩める
  • ドローンの姿勢制御:風で傾いたら、自動でバランスを取る

メリット

環境の変化に対応できる(外乱に強い)
目標値に正確に到達しやすい
安定した制御が可能

デメリット

❌ センサーが必要 → コストがかかる
❌ 計算が複雑 → 遅延が発生することがある


開ループ制御とフィードバック制御の比較

開ループ制御フィードバック制御
仕組み目標に向かってそのまま動く状態を確認しながら修正
外乱への対応対応できない対応できる
精度低い(ズレる可能性あり)高い(目標に近づける)
計算負荷小さい大きい(遅延の可能性)
電子レンジ、信号機エアコン、ドローン

実務での使い分け

「簡単で速く動作すればOK」な場合 → 開ループ制御
「精度が重要で、外乱に対応したい」場合 → フィードバック制御

実際のシステムでは、開ループとフィードバックを組み合わせることが多い です。
例えば、エアコンは「最初は設定温度に向けて強く冷やし(開ループ)、その後、温度を測りながら微調整(フィードバック)」を行います。


まとめ

  • 開ループ制御:シンプルで速いが、外乱に弱い
  • フィードバック制御:ズレを補正できるが、計算負荷が高い

制御を設計するときは、「精度・コスト・処理速度」のバランスを考えて、適切な方法を選ぶのが重要です!